印刷用にPDF文書を準備する方法
送稿前に、ページ寸法と印刷会社の条件を確認します。
はじめに
画面ではきれいに見えるPDFでも、印刷すると文字が切れたり、写真がぼやけたり、予期しない余白や色の違いが生じたりすることがあります。印刷用のPDFを準備するとは、失敗した印刷の後で直すだけでなく、印刷前に文書を確認することです。
このガイドでは、オフィス文書、配布資料、報告書、専門業者に依頼する印刷物を準備するための実用的な手順を説明します。既に起きている印刷の不具合については、PDFの印刷問題に関する別のガイドを参照してください。
1. 最終的な用紙サイズを確認する
一般的な用紙サイズにはA4やUS Letterがあり、それぞれ寸法が異なります。一方のサイズで作った文書を他方の用紙に印刷すると、拡大縮小や切り取りが起きる場合があります。
文書のプロパティを表示できるPDFリーダーでページサイズを確認します。送り先や印刷会社にも必要なサイズを確認してください。
2. ページの向きと余白を確認する
各ページが縦向きか横向きかを確認します。プリンターがフチなし印刷に対応している場合や、印刷物に塗り足しを設ける場合を除き、重要な文字や図はページの端から離してください。
オフィス用プリンターには通常、印刷できない余白があります。内容が端に近すぎる場合は、適切な拡大縮小を選ぶか、元の文書のレイアウトを調整します。
3. 塗り足しと仕上がりサイズを理解する
専門業者での印刷では、裁断後のページ境界より外側まで絵柄を延ばす必要がある場合があります。この余分な領域を塗り足しと呼びます。裁断後に不要な白い縁が出るのを防ぐためのものです。
仕上がりサイズは、裁断後の完成した寸法です。安全領域を設けると、重要な文字やロゴを裁断位置から離して配置できます。
必要な塗り足しは印刷会社や印刷物によって異なります。共通の値があると考えず、必要な寸法を印刷会社に問い合わせてください。
4. 画像の解像度を確認する
モニターでは十分に見える画像でも、印刷するとぼやける場合があります。実効解像度は、ピクセル寸法と画像を印刷する大きさによって決まります。
例えば、幅1500ピクセルの画像を幅5インチで印刷すると、有効解像度は1インチあたり300ピクセルになります。幅10インチに拡大すると、1インチあたり150ピクセルに低下します。
細部まで見せる写真印刷では、1インチあたり約300ピクセルが一般的な目安ですが、必要な解像度は印刷方式や見る距離によって異なります。ベクターの絵柄は、固定のピクセル解像度がなくても鮮明さを保てます。
5. フォントと特殊文字を確認する
フォントが欠けたり置き換えられたりすると、改行位置や文字の見た目が変わることがあります。適切で許可されている場合は、フォントを埋め込める方法でエクスポートしてください。記号、数式、多言語の文字を丁寧に確認します。
複雑なレイアウトの文書では、元の文書とPDFが一致すると決めつけず、エクスポート後に全ページを確認してください。
6. 適切な色設定を選ぶ
画面はRGBの光で色を表示しますが、多くの印刷ではCMYKのインクを使います。色の変換やプリンタープロファイルによって見た目が変わる場合があります。
一般的なオフィス印刷では、プリンターが推奨する標準設定に従います。商業印刷では、希望する色空間、ICCプロファイル、PDFの書き出し仕様を印刷会社に確認してください。印刷条件を知らずに色を変換することは避けます。
7. 透明効果と図を確認する
影、グラデーション、透明効果、重なったオブジェクトは、印刷工程によって異なる描画結果になる場合があります。エクスポートしたPDFで複雑な図を確認し、必要であれば印刷会社が推奨するPDF規格を使ってください。
印刷を簡単にするためだけに、すべての文字やベクターの絵柄を画像化しないでください。鮮明さやアクセシビリティが低下する場合があります。
8. ページの順序を確認する
全ページがそろい、正しい順序になっているか確認します。不要な白紙、重複ページ、横向きになったスキャン、予期しないセクション区切りがないか調べてください。
小冊子や折り加工のある印刷物では、通常のページ順で渡すのか、面付け済みの状態で渡すのかを印刷会社に確認します。指定されていない場合は、勝手に面付け用の順序へ並べ替えないでください。
9. PDFを正しく書き出す
元のWord、PowerPoint、デザイン用ファイルがある場合は、そのファイルから書き出します。印刷品質に適した出力設定を選びます。
専門業者での印刷には、特定のPDF/Xプロファイルが必要になる場合があります。PDF/Xは印刷用データの交換を目的とする規格群であり、長期保存を目的とするPDF/Aとは異なります。
10. 最終確認と試し刷りを行う
大量に印刷する前に、次の項目を確認します。
- 信頼できるPDFリーダーで最終版を開きます。
- ページの寸法と向きを確認します。
- フォント、必要なリンク、すべての画像を確認します。
- 100%の表示倍率で小さい文字や図を確認します。
- 可能であれば、代表的なページを試し刷りします。
- 重要な内容が切れていないことを確認します。
- 実際の利用条件に近い環境で色とコントラストを確認します。
- 承認済みの最終PDFと編集可能な元ファイルを保存します。
印刷前の簡単なチェックリスト
| 確認項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 正しいページサイズ | 不要な拡大縮小を防ぐ |
| ページの向き | 回転や縮小を防ぐ |
| 余白と安全領域 | 内容の切り取りを防ぐ |
| 必要な塗り足し | 裁断後の白い縁を防ぐ |
| 画像の解像度 | 細部を保つ |
| 埋め込みフォント | フォントの置き換えを減らす |
| 色の仕様 | 印刷結果を予測しやすくする |
| ページの順序 | ページの欠落や配置ミスを防ぐ |
| 試し刷り | 大量印刷の前に問題を見つける |
よくある質問
PDFは実際のサイズと用紙に合わせる設定のどちらで印刷すべきですか?
PDFと用紙の寸法が一致し、プリンターが必要な余白に対応できる場合は「実際のサイズ」を使います。切り取りを防ぐために拡大縮小が必要な場合は、用紙に合わせる設定を使います。
300 DPIは必ず必要ですか?
いいえ。細部の多いラスター画像に使われる一般的な目安ですが、適切な解像度は内容や印刷方式によって異なります。
PDFの塗り足しとは何ですか?
塗り足しとは、裁断後に白い縁が出ないように、最終的な裁断位置より外側まで延ばした絵柄のことです。
すべての画像をCMYKに変換すべきですか?
自動的に変換する必要はありません。印刷会社のカラーマネジメントの条件に従ってください。
PDF/Aは専門業者での印刷に最適ですか?
必ずしもそうではありません。印刷会社がPDF/Xプロファイルを指定する場合があります。
まとめ
印刷用PDFの準備では、送稿前に寸法、画像の細部、フォント、色、ページ順を確認します。最終確認と試し刷りは、大きな損失につながるミスを防ぐために役立ちます。対応するPDF変換や最適化の作業にはPDFreevertを利用し、専門業者の印刷では印刷会社の技術仕様に従ってください。
